ちょっと長い関係のぶるーす

secondhand books 「六月」のブログ

大阪圭吉


高校時代の恩師杉浦俊彦氏が新城市出身の大阪圭吉の研究者であることは、同級生でも何人かは知っている事実だ。まあ『学友』なる母校発行のいわゆる校友会誌(『文藝春秋』をちょっと薄くしたくらいのサイズ。A5 2段組 一部3段組)があり、独自の研究テーマを持つ教員はまずここに論文を発表してその後学会発表していずれ書籍化を目指す、とかしてたんだと思う。

わしらが在学中に「三河にも推理作家がいた」なる論文を発表していたはずだ。『学友』手元にないので後で確認しておく。わしが卒業してからも『天城越え』の元ネタを発見した〜云々の文章を書いていた。すでに卒業していたが『学友』はもらってそれを読んだ。清張先生にも手紙で問い合わせたそうだが返事はなかったと聞く。

 

さてその大阪圭吉。何十年も前は読みたくても本がない(戦前の『新青年』なんか入手不可能でしょう)状態で鮎川哲也編の『下りはつかり』なるアンソロジーに収録された「とむらい機関車」くらいしか読めないと言われていた。

この夏『死の快走船』が出ることをTwitterで知り、詳しいことはろくに調べもせず「文具物語」なるネット書店に注文して購入した。カバーがとても素敵だったので、みんなに見せびらかしているところ。

巻末に「幻の探偵作家の足跡をたどって」なる文章を小野純一氏が寄せている。文中に何度も大阪圭吉研究家・杉浦俊彦氏が登場するので教え子としてはなかなか誇らしい気分である。

 

それで巻末の広告に鮎川哲也編の『下りはつかり』が載っているのだが「とむらい機関車」の名前がない。鮎川哲也より小さい文字で北村薫の名前がある。

ん、創元推理文庫?  わしの記憶では『下りはつかり』は文庫でなく新書サイズで、確かカッパブックスなのだが、何がどうなっているのやら。調べねばならないことばかり。

 

なお、杉浦俊彦氏の娘婿殿は本庶佑先生のノーベル賞につながる「PD-1」を京大院生時代に発見した奈良先端大准教授石井靖雅氏である。

「婿はなあ、わしが何を研究しとるかようわかっとらんだ。それでも最近はパソコンにわしの名前を入れると大阪圭吉のあ〜だこ〜だといろいろ出てくるだろう。ほれで少しはわしが何者であるかがわかって来たみたいだな。ふむふむ」だそうです。で、いつかは本庶先生がノーベル賞を取る、ということも恩師からの情報でわしは知っていた。

だで何だ?  はいそれだけです。