結城と大島の展示会をのぞく。
母が鹿児島生まれなので、紬といえば大島だったのだが、言ってはナンだが、最近の複雑な絵柄を織り出した大島って少々下品ではないか?
柄が入らずとも無地で充分存在感のある結城はどうよ。
(つか、柄が入るとゼロ一つ増えるし……)
わしも一枚奮発して以来、あの柔らかさも捨てがたい。
わしのはな、裾と袖口だけ八掛つけて、胴抜き仕立てにした。
灰色の無地なので、喪服セットの帯を締めて友人の親の葬式とか自分の親の法事に着たこともある。
結城の職人さんから話を聞く。
わたしも奮発する上では、本場ものと聞いて一代決心してこしらえたが、はたして? と思い帰宅後、端切れを探索。
(これが、すぐ見つかったんだってばよ。奇跡的だあ。)
血統書つきの本場もので一安心。
やや大きい白い紙片が写っているが、ここには糸とりしてくれた方、機を織って下さった方、二人の女性のお名前が書いてある。
同じ苗字のお二人。
呉服屋さんの話では、お姑さんとお嫁さんではないか、とのこと。
わたしにとっては大切な「作家もの」である。