幸田文の『おとうと』BS松竹東急の映画は毎週録画するようにしていて、気が向いたのだけ見てみるのだが、たまにびっくりする。
主演は岸惠子。
弟役は川口浩か? 恒の方か?
露伴を森雅之。継母役は難しいが、さすがは田中絹代だ。
田中絹代のところへ時々やってくる「信仰のお客」が岸田今日子で、二人でボソボソ神様のこととなさぬ仲の姉弟の話をしているのがなんともはや、である。
昭和35年度芸術祭参加作品。
監督誰だ? と思って巻き戻して見たら市川崑。
弟は川口浩だった。一本の映画の中でやんちゃな不良と結核で死んでいくまでをちゃんと演じ分けていて、こんなに芝居うまかったっけ、と思ったさ。
幸田文は露伴の死後、編集者が気まぐれで追悼の原稿依頼をしたらこれがまあ舌を巻く出来で作家になっていくのだが、映画に出て来る露伴先生は文豪ではなく、気弱な親父で息子には甘いのだ。
原作を読む日が来るだろうか。