藤原竜也が最後の台詞を吐いた直後、背景のホリゾント幕がばさっと大きな音で落ちてしまう。
むきだしのコンクリート。
おそらくは劇場の壁。
スピーカーから誰かの声がするのだが、何を言ってんだか、うまく聞き取れない。
役者が台詞を言ってんじゃない。
アジ演説のようだし、背後の雑音もかなり聞こえる。
なんか前世紀の手法だな、と思う。
どうせ三島の演説だろ?
でなきゃ無意味だ。
で、その演説は市ケ谷の実況録音だろうか?
それにしては声に緊迫感がない。
まあ、そんなことをぐずぐず考えながら、帰宅後、2ちゃんで調べると、やっぱり三島の声ではあるらしい。
どうせ三島だろ? と思ってそれがビンゴだったりしても、あ、やっぱりね〜で終わっちゃう。
でも一つ、発見もあった。
それは三島が俊徳に自身を投影してたってことだ。
俊徳は級子に救済されるが、三島に救済は訪れない。
25年後の自刃でむりやり自己完結するしか道はなかった。
そう言われればまさにその通り。
読みが浅かった。