ちょっと長い関係のぶるーす

secondhand books 「六月」のブログ

麻について

子どもの頃、グラスは麻のふきんで拭く、と本で読んでから、麻という繊維に興味を持った。

なぜ麻布がグラス磨きに最適なのか。木綿のように繊維が残らずガラスが輝くから、という理由が書いてあった。
しかし昭和40年代は麻にとって不遇の時代(天然繊維にポリエステルが挑んだ戦いが終盤を迎え、ポリエステル大勝利前夜、といったところで)で、わしは麻布がどんなものか見たことも触ったこともなかったのであります。

初めて見たのは中学1年の理科の西澤先生が麻の開襟シャツを着てた時だ。
この繊維わかる人? て、誰も知らんわ。これが麻だよ、と教えてくれた。
黒板に5.10.180.200.633.1800とか書いて㎗とかccとか単位をやってたんだな。
瓶ビールが633ccってのも、その日教わった。
西澤先生にわしは結構なついていた、と思う。豊橋工業高校の近くのご自宅まで友だち何人かで遊びに行ったこともある。お母様がおられた。独身だったのか?

麻はつやがあって軽くて夏向き、古い映画の刑事さんは夏はしわくちゃの麻の背広を着て、カンカン帽をかぶっている。
どうやってもこうやっても皺だらけになる。
めんどくさいアイロンかけからの解放を旗印に木綿35ポリ65軍は勝利した。

時は流れ、シワがあっても、扱いにくくても、麻の持ち味はどの繊維にも出せないということが広く知られるようになって、初めて麻は復権を果たせたんじゃないのか。
今までさんざんコケにしといてそれはなかろうってくらいの持ち上げ方だ。春になればUNIQLOにだってわんさか麻製品があふれる。

去年の大河ドラマ。『軍師官兵衛』。
侍も女たちもみんな麻の着物を着ていた。今まで大河でこんなに麻の着物が前面に出ることがあったろうか。わしが知らんだけか。
しかもほとんどの着物が絞り染めなのだ。

こんなことってあったか? と思って【大河,着物,麻,絞り染め】で検索した。詳しくはわかんなかったけど。

なんてったって木綿の普及は江戸時代に入って以降、戦国時代の着物は麻なのだ。
貴族や殿様奥方様とか権力者たちは絹を着てただろうが、な。